Worth Keeping
明石市 — 築33年 戸建てリフォーム
オーナーが暮らした築33年の戸建てを、賃貸住宅へ。何を替え、何を残すか。その線引きで組み立てました。
早期退職を機に遠方へ移り住むオーナーからの依頼だった。長く暮らした家を賃貸に出す。そのための、最低限のリフォームをしてほしい——。間取りは変えない。工期は1ヶ月。だからこの現場の設計は、何を替えて何を残すかの線引きに尽きる。
玄関は框も土間タイルも既存のまま。壁と天井と建具を塗り替え、床にフロアタイルを貼った。それだけの操作で、築33年の戸建ての玄関は今の顔に変わる。
操作は徹底して「上から重ねる」である。床は既存のフローリングの上にコンクリート調のフロアタイルを貼り、壁の一面には大判のパネルを張った。キッチンは本体を残し、扉の面材だけを白に貼り替えた。生きている設備は活かし、目に触れる面だけを更新する。
仕上げの方向は、借り手の想定から逆算した。家は駅近のファミリーサイズ。明石は子育て支援の制度が手厚く、若い子育て世帯の転入が続くまちである。だから内装は、その世代に刺さるグレー基調に振った。竣工後、実際に入居したのは30歳前後の子育て夫婦である。
2階は廊下と洋室。壁と天井を塗り、床にフロアタイルを貼り、建具は交換せず塗装で色を揃えた。既存のドアも折戸も、塗ってしまえば見劣りしない。撤去も処分も出ないから、工期と費用が同時に縮む。
和室だけは手を入れずに残した。状態が良かったこと、そしてオーナーの希望である。全部を塗り潰すのではなく、残せるものを見極めて残す。それも線引きのうちである。
浴室はユニットバスに交換せず、在来のタイルの上に左官系の防水仕上げを重ねた。ステンレスの浴槽はそのまま使い、シャワー水栓だけを新しくした。タイルの浴室は古びて見えるが、下地として見れば十分に生きている。仕上げを一枚重ねるだけで、空気は一変する。
- Location
- 兵庫県明石市
- Type
- 戸建てリフォーム
- Age
- 築33年
- Size
- 建築面積51.30㎡/延床99.54㎡
- Scope
- 内装全般(和室を除く)
- Design Term
- 約1か月
- Term
- 約1か月
- Design / Build
- YON